治療 – 慢性腎臓病
薬
慢性腎臓病に特化した薬はありませんが、薬は慢性腎臓病の原因となる多くの問題や、慢性腎臓病の結果として起こりうる合併症のコントロールに役立ちます。
高血圧
血圧の良好なコントロールは腎臓を保護するために不可欠です。
腎臓病の人は通常、血圧を140/90mmHg以下にすることを目指しますが、糖尿病を患っている場合は130/80mmHg以下にすることを目指してください。
血圧の薬にはいろいろな種類がありますが、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤と呼ばれる薬がよく使われます。 例えば、ラミプリル、エナラプリル、リシノプリルなどです。
ACE阻害剤の副作用には次のようなものがあります。
- 乾いた咳が続く
- めまい
- 疲れや脱力感
- 頭痛
ACE阻害薬の副作用が特に厄介な場合は、代わりにアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)と呼ばれる薬が投与されることがあります。
高血圧の治療法について詳しくはこちらをご覧ください。
コレステロール値が高い
CKDの人は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高いと言われています。
これは、腎臓病の原因のいくつかが、高血圧や高コレステロールなどの心血管疾患の原因と同じであるためです。
心血管疾患の発症リスクを減らすために、スタチンと呼ばれる薬を処方されることがあります。
スタチンの副作用には次のようなものがあります:
- 頭痛
- 気分が悪い
- 便秘や下痢
- 筋肉や関節の痛み
高コレステロールの治療法について詳しくはこちらをご覧ください。
水の貯留
腎臓病を患っていると、足首や足、手がむくむことがあります。
これは、腎臓が血液中の水分を除去する機能が低下し、体の組織に水分が蓄積するためです(水腫)。
むくみを解消するために、スープやヨーグルトなどの水分を含む、毎日の塩分や水分の摂取量を減らすようにアドバイスされることがあります。
場合によっては、フロセミドなどの利尿剤(おしっこの量を増やす錠剤)が投与されることもあります。
利尿剤の副作用として、脱水症状や血液中のナトリウムやカリウムの減少などがあります。
貧血
進行したCKD患者の多くは、赤血球が不足する貧血を起こします。
貧血の症状としては、以下のようなものがあります。
- 疲れやすい
- 元気がない
- 息苦しい
- ドキドキ、ヒヤヒヤ、不整脈(動悸)
貧血の場合、エリスロポエチンという薬を注射することがあります。
鉄分が不足している場合には、鉄分補給が推奨されることもあります。
鉄欠乏性貧血の治療法については、こちらをご覧ください。
もっと知りたい?
- National Institute for Health and Care Excellence (NICE): treating anaemia in people with chronic kidney disease
骨の問題
腎臓に深刻な障害があると、腎臓がリン酸を取り除くことができないため、体内にリン酸塩が蓄積されます。
赤身の肉、乳製品、卵、魚など、リン酸塩を多く含む食品の摂取量を制限することを勧められるかもしれません。
これでもリン酸塩濃度が十分に下がらない場合は、リン酸塩結合剤と呼ばれる薬を処方されることもあります。
CKDの人の中には、健康な骨に必要なビタミンDが不足している人もいます。
ビタミンDが不足している場合、コレカルシフェロールやエルゴカルシフェロールと呼ばれるサプリメントでビタミンDのレベルを上げることができます。
糸球体腎炎
腎臓病は、糸球体腎炎と呼ばれる腎臓内のフィルターの炎症によって引き起こされることがあります。
場合によっては、免疫系が誤って腎臓を攻撃した結果起こることもあります。
腎生検の結果、糸球体腎炎が原因であることが判明した場合は、ステロイドやシクロホスファミドと呼ばれる免疫系の活動を抑える薬が処方されます。